国際婦人年連絡会|私たちは黙らない 女性の権利を国際水準に!

行動目標2020~2025

政策方針参画委員会  行動目標 2020~2025

  1. 政府は意思決定過程や指導的地位に女性が占める割合を「2020 年までに30 パーセント程度」との目標を、達成することなしに2020 年を迎えた。第5次男女共同参画基本計画では、政府に女性活躍推進法を策定し、男女共同参画を推進してきた到達と現状認識、問題点などを明らかにして、基本計画を策定することを求める。施策・意思決定過程の女性割合を2050年度までに50%とする取り組みを各方面に促していく。
  2. 選挙制度の改革にジェンダーの視点を「政治分野における男女共同参画推進法」が実際 に効力を表すよう働きかけを行う。また、一票の格差を是正すること。多様な民意を反映するため、小選挙区制度を見直すよう要望していく。
  3. 男女共同参画社会基本法に定められている積極的是正措置が地方自治体、都道府県及び政府、政党、企業などあらゆる分野、組織、団体に講じられているか、登用計画の実施、進捗状況を注視する。
  4. 国家公務員、地方公務員、政党、企業、農漁村の分野に女性管理職の登用を求める。
  5. 「女性の活躍」ができる雇用形態、待遇、教育機会、賃金、介護、保育などの施策の充実、環境整備 を行うよう政府関係省庁に求めていく。
  6. 女性差別撤廃条約選択議定書を速やかに批准するよう再度要請する。
  7. 地域防災計画及び実施計画を策定するにあたっては生活に密着した方針と、構成員の30%以上の女性の参画を要望していく。
  8. 女性の「性」の尊重の欠如が、あらゆるジェンダー問題の背景として存在し、ジェンダー平等の実現を阻んでいる。DV、セクシャル・ハラスメント、性 の商品化、人身売買など性暴力への取組の基本方針 のグローバルスタンダード化と国際文書の尊重を促す。
  9. ジェンダーに配慮した政策の策定や実施の根拠となるジェンダー統計の施行の徹底を促す。


労働委員会 行動目標 2020~2025

1.女性労働者の地位向上のための公平・公正なルールの整備を促進

  1. 男女間賃金格差の是正、政策決定の場への女性の参画やポジティブアクション等の推進に向けて取り組む。
  2. 「2030年50%」の実現に向けて、「クオータ制導入」やポジティブアクション等の推進に向けて取り組むとともに、改正女性活躍推進法の実効性を高めるため、 すべての企業・団体が事業主行動計画を策定し、情報公表を行うよう政府へ働きかけるとともに、策定の進捗状況をフォローアップする。
  3. 同一労働同一賃金の法施行を踏まえ、パート・有期・派遣労働者など、多様な雇用・就労形態の女性労働者の雇用安定と処遇の改善に取り組み、同一価値労 働同一賃金の実現をはかる。

2.雇用における男女平等の実現

  1. 政府の第5 次男女共同参画基本計画が策定されることを踏まえ、雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保、男女の仕事と生活の調和の進捗 状況をフォローアップする。
  2. 男女雇用機会均等法の実効性ある改正に向けて、 学習等を深め、政府へ働きかける。
  3. 日本政府のCEDAW報告の動向を注視し、国際・開発委員会等と連携して報告審議へ意見反映を図る。
  4. ひとり親家庭、障がいがある等、就労困難な女性のための相談機能、就労・企業支援等の改善・充実とともに、配偶者控除を廃止し、働き方に中立で女性が自立できる税・社会保障制度に向けて取り組む。
  5. 新型コロナ感染で影響を受ける女性労働者や、震災復旧・復興における女性就労の状況を把握するとともに支援策強化に向け取り組む。

 3.「ワーク・ライフ・バランス社会」の実現

  1. 長時間労働の撲滅、不払い残業の根絶、残業の上限規制の改善、安心して働き続けるための環境整備に取り組む。
  2. 育児・介護にかかわる社会的な基盤整備、保育士・介護ヘルパーなどの労働条件の改善に向けて取り組む。

4.あらゆるハラスメントの根絶

  1. 仕事の世界における暴力とハラスメント」のILO条約批准にむけて、あらゆるハラスメントの禁止をはじめとする国内法の整備を求める。

 

家族・福祉委員会 行動目標 2020~2025

1.女性の生き方に中立な税・社会保障と、女性と子どもの貧困、子育て支援の問題にとりくむ。

  1. 女性の働き方やワーク・ライフ・バランス、税制、社会保障などを学習し、ジェンダー視点での要望につなげる。
  2. こども・子育て支援、待機児童、保育の問題にとりくむ。
  3. DV や児童虐待、ひとり親家庭への支援について学習と政府要望にとりくむ。
  4. 高齢女性の貧困や介護について検討し政府要望を行う。

2.性暴力・性搾取、パワーハラスメントの問題にとりくむ

  1. 刑法の性犯罪規程の再改正を政府や政党に働きかける。
  2. 国会に性暴力被害者支援法の早期成立を働きかける。
  3. 売春防止法の改正と婦人保護事業の見直し、女性の自立支援法の実現に向けて学習や要望に取組む。

3.国連の女性差別撤廃委員会から勧告や改善を求められている課題にとりくむ。

  1. 政府と国会に女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准を働きかける。
  2. 政府と国会に選択的夫婦別氏制の導入を内容とする民法改正を働きかける。
  3. 刑法堕胎罪の廃止および夫の同意と医師の認定を中絶要件とする母体保護法の改正を政府や社会に 訴え、危険な掻爬による中絶を止め、より安全な中絶方法を認めるようよびかける。

4.新型コロナ感染症のもとで起きた女性や子どもの困難に向き合い解決にとりくむ。

  1. コロナ禍で浮かび上がった日本の医療体制や保健所の課題について学習し、政府要望を行う。
  2. コロナ最前線で働く医療従事者やエッセンシャルワーカーの実態を知り、賃金や健康・生活面での保障、防護具などについて政府の対策を求める。
  3. ステイホームで起きているDV,性暴力、こども虐待などの問題にとりくむ。
  4. 仕事を失った非正規雇用の人々、シングルマザーなどへの支援を政府に働きかける。

5.自営業・農山漁村で働く女性たちの労働が正当に評価され、女性が力を発揮できるように、政治や社会の努力を求めていく。

 

教育・マスメディア委員会 行動目標 2020~2025

【学校教育】

  1. 憲法にある幼児期から大学までの教育の平等権を、国の責任で保障することを求めて政府に働きかける。外国人学校への摘要、とりわけ朝鮮学校への差別 的対応の是正を求める。コロナ禍で露わになった「40人学級」や特別支援学校の過大・過密の問題、高校 生・大学生の経済的困窮の問題などについて早急に対策をたて、問題の解消を図ることを求める。
  2. 貧困・格差拡大の中で、特別な支援を必要とする子どもたち、LGBTQの子どもたち、外国人労働者の子どもたちなどに対する教育と支援、必要な教育条件整 備等について要望する。
  3. 学校教育を管理統制し教育における自主性・創造性を奪う動きや、子どもの内心の自由を侵害する動きに反対する。憲法・子どもの権利条約と、国際人権規約等の国際的なルールに基づく人権教育、主権者教育、政治・平和教育などが自由に行われる学校・社会の実 現をめざす。とりわけ、日本政府報告に記述された子どもの権利委員会による「極度に競争的なストレスフルな学校環境から子どもを解放する」見解を支持し、「全国一斉学力テスト」の廃止を求める。また、あらゆる発達段階における「性と人権」の教育の充実を求め、ジェ ンダー平等と科学的な歴史認識に基づき、日本軍「慰安婦」問題等の教科書への記述を求める。
  4. 教職員の長時間過密労働を解消し、教職員がゆとりを持って一人ひとりの子どもたちに丁寧に対応できる教育環境整備を求める。そのために大幅な教職員の 増員を政府に求めて働きかける。
  5. 被災地の学校や被災・避難した子どもたちがかかえる課題・要望を明らかにし、子どもの安全と発達を保障するための条件整備を求める。

【社会教育および高等教育】

  1. 「女性や少女・女児への暴力・性暴力」関連条約や法制度とその運用実態の問題点を明らかにする取り組みを行い、子どもが被害者にも加害者にもならないための暴力防止教育を提言する。
  2. 男女共同参画第 5 次基本計画の実施を注視し政策提言に繋げ、あらゆる分野におけるジェンダー統計の実現・公表を要望する。
  3. 高等教育における女性教員の分野別ジェンダーギャップの実態を調査し、意志決定の地位に占める女性の割合を改善する措置を講ずるよう要望する。
  4. 各自治体の男女共同参画センターの社会教育施設としての役割について、社会教育法改正以後の現状を調査し、災害・防災時における避難場所あるいは災害ボランティア活動拠点としての利活用方策をジェンダー視点から探る。

【マスメディア】

  1. 憲法に則り、「自主独立」「ジェンダー平等」「人権尊重」の視点を確保し、国民・視聴者の知る権利を保障し、民主主義の発展に寄与する報道を、各マスメディアに常に要請していく。
  2. 「公共放送 NHK」の再生をめざして、視聴調査、懇談要請をしていく。
  3. 言論の自由、民主主義の発展、国民の知る権利を保障する上で、阻害・隘路となる法律等の廃止、改正を求めていく。

 

環境委員会 行動目標 2020~2025

  1. 環境に関する諸問題の情報収集、学習、活動参加などを行い、政府、自治体、国際機関などに対し、女性に関わる問題について提言を行う。
  2. 持続可能な開発目標(SDGs)は、気候変動の影響軽減、海洋資源、土壌等の保全と生物多様性確保、持続可能なエネルギー確保、健康的生活と保健衛生等、国際社会における環境課題を網羅する。ジェンダー平等と多様性の尊重(第5 目標)の視点に立ち、環境問題について、地域の具体的問題から出発し、地球規模での長期的な視野を共有することを目指 す。
  3. 2020年11月の国連気候変動枠組条約第26回 締結国会議(COP26) 開催以降、再提出される温室効果ガス排出量削減目標を含む国別目標(NDC) の動向について注視する。
  4. 温室効果ガス削減のために、代替エネルギー事業 (水力、風力、地熱、バイオ、etc.)の技術革新の進展と、日本国内での地域展開を注視し、それらが新たな環境負荷をもたらすことがないかなど、学習を進める。また石炭火力発電依存からの脱却シナリオについて注視する。
  5. 新たな「第6次エネルギー基本計画」策定の道筋 が具体化される議論経過を注視し、日本のエネルギーミックス政策について学習し、脱原発の視点からも再生可能エネルギーの成長戦略に発言、提言をする。
  6. 震災・水害・感染症発生時の対応施策の整備として、電力と情報通信の確保、地域医療網の構築から、避 難所トイレの衛生対策まで、生命に直結するライフラインの諸問題について、女性の視点を取り入れた提 言活動を行う。
  7. SDGs の目標に、2030 年までに世界全体の食料 廃棄を半減させることがある。日本の食品流通業界 慣例の品質保持期間「3分の 1 ルール」が謳う衛生 安全意識と均衡を保つための「食の哲学」について 考察する。
  8. レジ袋有料化やプラスチックストロー廃止などの象徴的な施策が実行される中、長期的な視点に立ち環境生態系の保全と両立できるプラスチック利用削減の道を探る。

 

平和委員会 行動目標 2020~2025

COVID-19 を経験し、感染拡大防止は一国の問題として解決できないことを学んだ。いかなる時もあらゆる国々と協力、協調し平和のもとでの生存権の実現を目指さねばならない。

1.憲法9 条堅持の立場から

  1. 憲法 9 条を中心とした憲法「改正」案、その案の是非を問う国民投票の実施に関して出来得る限り、憲法委員会と協力して反対していく。
  2. 憲法違反である「集団的自衛権行使」を容認し、閣議決定した「安全保障関連法」及び「特定秘密保護法」の廃止を政府に求めていく。
  3. 防衛装備移転三原則を監視していく
  4. 迎撃能力を向上させるという名目での敵基地攻能力の所有に反対する。
  5. 防衛費増額、軍備拡大に反対していく。

2「核」を巡る問題

  • 核兵器の廃絶を目指して行動する。
    ・「核兵器禁止条約」に署名・批准し、条約の発効へ、 被爆国として積極的に関わるよう働きかける。
    ・核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けて、核保有国を含めた国際的な核廃絶の動きを支援するよう政府に求めていく。
  • 原発ゼロを目指すよう政府に求める。
    ・原発労働者被爆問題・核廃棄物処理問題を抱えた原発の再稼働に反対し、自然エネルギーへの大幅な転換を求める。
    ・汚染水処理などの根本的な問題を先送りせず、国と東電は責任を持って早急に対応策を示し、住民との対話を通して復興策を決定するように求める。
    ・放射能による健康被害に関する支援策を関連機関に要請する。

3「女性・人権」に関して

  1. 米兵による女性・女児への性暴力犯罪が正当に裁かれず、オスプレイの墜落など相次ぐ事故や基地内の 感染症の流行に対して日本政府が有効な対策が取れないことに抗議し、その根底にある「日米地位協定」・ 「日米安全保障条約」の見直し=不平等の是正を求めていく。
  2. 辺野古の新基地建設中止及び米軍基地強化に反対する。
  3. 日本軍「慰安婦」問題に関して引き続き他の委員会と協力して政府へ真の責任を追及していく。
  4. 国連安保理決議1325の国別行動計画策定に関し、今後の動きを監視していく。

 

憲法委員会 行動目標 2020~2025

私たちの生活のあらゆる分野で、ジェンダー平等の視点から、憲法を積極的に生かすことを求めて行動する。

  1. 特に憲法の前文、9 条(戦争放棄)、13 条(個人の尊重)、14 条(法の下の平等)、15 条(普通選挙の保障)、24 条(個人の尊厳と両性の本質的平等)、25 条(生存権)、26条(教育を受ける権利)、27条(労働の権利)などについて、ジェンダー平等の視点、およびコロナ禍の渦中で特に脅かされている生存権、教育を受ける権利、労働の権利を真に実効的に実現していくために行動していく。
  2. 政策・方針決定過程への女性の参画拡大をはじめとして、あらゆる分野で憲法に基づくジェンダー平等 政策が推進されるよう、政府や国会の動きを監視する。
  3. 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が実質的に実施されるよう、各政党に働きかけると同時に、同法律の改善を求めていく。
  4. 国政選挙その候補者と所属政党に、憲法及びジェンダー平等に関する考え方、政策を問うアンケート調査を実施し、その結果を広く公表する。
  5. 憲法「改正」を主張する政党や団体の動き、これらに関する政府や国会の動きを注視し、新しい動きに対応して行動する。
  6. 「日本国憲法の改正に関する法律(国民投票法)の問題点を明らかにし同法の廃止を求める。
  7. 衆参両議院の憲法審査会を傍聴し、改憲原案などの審査に関する動きについて、委員への必要な働きかけを行う。
  8. 憲法9条に違反し、海外での武力行使を可能にするために行った「集団的自衛権行使を容認する閣議決定」の撤回と「安保法制」の廃止を求める。
  9. 憲法の基本3原則に反する特定秘密保護法、組織的犯罪処罰改正法(共謀罪)の廃止を求める。
  10. 行政が司法・立法の独立性を脅かすような人事への介入を行うこと、公文書の改ざんを行うことなどの民主主義の破壊行為に反対する。

 

国際・開発委員会 行動目標 2020~2025

1.ジェンダー平等をめざす国際規範の尊重と持続可 能な社会への取り組み

  1. 国連女性差別撤廃条約選択議定書の早期批准をめざす。
  2. 世界的感染症が女性と子どもへ与える社会的、経済的インパクトに関する統計・データの収集と蓄積を促進し、ジェンダー平等の視点から『だれひとり取り残さない』SDGs の達成をめざす。
  3. 同一価値労働同一賃金を求め、男女の経済格差をなくす取り組みを進める。

2.「女性に対するあらゆる暴力の根絶」をめざす取り組み

  1. 性暴力に関連する刑法改正に注目し、学習するとともに、性暴力は犯罪であると社会や個人の意識を変えることに取り組む。
  2. ILOの「仕事の世界における暴力とハラスメント撤 廃条約」の早期批准を求め、セクシャル・ハラスメントをはじめとしたあらゆるハラスメントを禁止する包括的な法律について調査・学習・ロビー活動を行う。

3.「生涯を通じた女性の健康」への取り組み

  1. 「女性の健康の包括的支援に関する法案」の成立をめざす。
  2. 望まない妊娠や性感染症、性被害の予防のため人権に基づく包括的な性教育の推進を求める。
  3. 女性に特有ながんの検診率向上を図るとともに、HPV ワクチンの予防効果について国際的な動向を検証し提言する。
  4. 非感染性疾患への医療アクセスを普及し健康寿命の延伸を推進する。

4.GII/IDI 懇談会への取り組み

母子保健、世界的感染症の撲滅、子どもの栄養状態改善等の国際保健の改善をめざし、日本の貢献を提言していく。

5.国連女性の地位委員会(CSW)への取り組み

  1. CSWに参加し、報告会で情報を共有する。
  2. 優先テーマに関連した調査・研究・ロビー活動を行う。
  3. 国連NGO 国内女性委員会、JAWW、外務省と協力し、サイド・イベントを開催する。
  4. NGO/CSW フォーラムのコンサルテーション・デイやレセプションに参加する。
  5. 国連公式文書の翻訳協力、学習・普及をはかる。

6.国連ウィメン日本協会東京を通して、UN Women の活動を促進する。