国際活動

国際婦人年連絡会は、「女性2000年会議: 21世紀に向けた男女平等・開発・平和」と題する第23回特別総会に、前世話人が政府代表団顧問として参加し、さらにオブザーバーとして2名が出席して以来、1998年に国連経済社会理事会より与えられた特別協議資格を十分に活用して、数々の国連関連国際会議並びにその他のNGOの国際会議に、積極的に参加してまいりました。

中でも、2001年6月にニューヨークで開催されたHIV/エイズに関する第26回国連特別総会、同年8月から9月にかけて南アフリカ・ダーバンで開催された人種主義・人種差別・外国人排斥及び関連する不寛容に反対する世界会議、2002年4月にマドリードで開催された第2回高齢者問題世界会議は、特に印象深い国連会議でした。

国際婦人年連絡会は、国際会議に単に参加するだけではなく、そこに提出された重要な文書、採択された文書や決議を日本語に翻訳し、様々なNGOに配布し、国際社会の動向の周知を図ってまいりました。

今年は北京+10の年にあたり、3月の第49回国連婦人の地位委員会で、「北京宣言と行動綱領」及び第23回国連特別総会成果文書の見直しが行われ、政府高官による一般討論は、総会本会議として行われました。この会議には、国際婦人年連絡会世話人の1人を含むNGOから3名が、政府代表団顧問として加わりました。

今年の北京+10となった第49回国連の婦人地位委員会に、政府高官として出席した西銘順志郎内閣府大臣政務官が行ったステートメントの「男女共同参画社会」が、英語でgender-equalsocietyと訳されていたことから、国会で、「ジェンダー」や「リプロダクティブ・ヘルス」という用語は国際的にも合意を得ていないという趣旨の発言があり、「女子差別撤廃条約」を日本が留保条件なしで批准したことまで非難いたしました。これを受けまして、また、例の新聞社が出している雑誌で、外務省を国賊集団と呼び、内閣府の男女共同参画局をフェミニズム革命日本支部と呼ぶような論文が発表されました。

そこで、北京+10の会期中に行われた各国高官、国際団体、NGOによるステートメントを分析してみました。ステートメントは全部で174あり、その内訳は、EU、G77/中国と各国代表が142、国連機関と国際団体によるものが20、NGOによるものが12でした。ステートメントは1人5分との制限時間がありましたので、かえってどんなことが各国及び国際社会の最重要問題であるかがはっきりとわかりました。

gender-equalsocietyという言葉は、韓国もそのステートメントの中で使っていました。140カ国と2グループのステートメントをつぶさに調べました結果、gender-equalityについて述べた国は何と86カ国と2グループ、ジェンダーの主流化は22カ国と1グループ、ジェンダーの視点について述べた国は13カ国と1グループありました。その他、ジェンダー予算、ジェンダー統計、ジェンダー監査、ジェンダー格差を国の最重要問題として挙げた国も多数ありました。つまり、「ジェンダー」という用語は、国際社会では完全に定着していることが証明されました。

「リプロダクティブ・ヘルス」につきましても、カトリック国・イスラム国の意見はあるものの、中絶の権利に対して反対の意を表明したのはアメリカとマルタだけで、ブラジル、ポルトガル、エクアドルのようなカトリック国はこれに賛成しております。

「女子差別撤廃条約」は、批准国が今や180カ国で、当初留保条件をつけていた国々も留保条件をどんどん撤回しております。イスラム国であるモロッコは、特にこの留保条件の撤回についてステートメントで述べました。モロッコの他に、「女子差別撤廃条約」の批准を国の最重要問題として述べた国は、140か国中31カ国ありました。条約の選択議定書の重要性について述べた国も、8カ国ありました。

こう見てきますと、一部の国会議員の言動は、国際的動向を全く無視して、誤った方向に国民を導こうとしている意図があり、誠に残念なことです。

今年8月には、中華全国婦女連合会と中国外務省が主催した国連第4回世界女性会議10周年記念大会に、出席しましたが、開会式で胡錦濤国家主席が、ジェンダー平等が開発の基礎であるという趣旨の大変によい演説をしました。

9月には、国連広報局・NGOが開催する年次会議が開かれました。この会議のテーマは、「私たちの課題:平和、パートナーシップ、革新に対する声」で、124カ国から1,160団体、3,500名が登録しました。会議中に、コフィ・アナン事務総長を初めとする各国の要人から、1週間後に控えた2005年世界サミット成果文書案の危機を訴える悲痛な叫びが聞かれました。NGOは、「狭量な利益を捨てて妥協せよ」との行動の呼びかけを採択して、サミットに送りました。

サミットの成果文書は、3月に国連事務総長より総会に提出された文書「より大きな自由:万人のための開発・安全保障・人権に向けて」を基にして、第59回総会議長が6月5日に成果文書案を作成して、総会に提出しました。これに対して、NGOの意見を聞くために、6月23日と24日に、各国政府、民間セクター、NGOを含む市民社会団体が参加した国連史上初めての公聴会が、国連広報局・NGOの主催で開かれました。そして、ここで出てきた意見を忠実に取り入れた改訂案が、8月5日に発表されました。

ところがここに、ブッシュ大統領が任命したボルトン米国連大使は、なんと400乃至750カ所もの修正案を提出して、文書の折衝は難航しました。その結果、軍縮と核不拡散に関する文言を全部削除した成果文書が、9月13日の第58回総会の最終会議で承認され、それがそのまま9月16日のサミットの第6回会議(第60回総会の第7回会議)で採択されたのです。

このように、今回のサミットの成果文書は、安全保障の点では失敗に終わりましたが、女性に関する問題では大きな後退はなく、公聴会で出されたNGOの意見が取り入れられた文書が採択されました。(詳しい内容は、添付の資料参照)

小泉首相と町村外務大臣が出席して採択された2005年世界サミット成果文書に、「ジェンダー平等」や「ジェンダー主流化」や「リプロダクティブ・ヘルスへのアクセス」が高らかに謳われています。今、日本で吹き荒れているジェンダー・バッシングが国際社会に対してはいかに説得力のない、無駄な足掻きであるかをはっきりと示しています。ジェンダーの視点なくしては、開発も貧困撲滅も平和も達成されないことは国際的に合意された真実であります。

国際婦人年連絡会は、今後もジェンダーの主流化をすすめ、性別に捉われないジェンダーから解放された世界を目指す国際社会と国連に積極的に協力し、その活動に参加していく方向をたどっています。