3. 今後の活動を進めるに当たって留意すべきこと

国際婦人年連絡会の活動を概観して、すべての問題を解決する近道は、女性たちが政策決定の場に多数参画することであると考えられる。生活に密着した血の通った政策立案には、「社会的・文化的に形成された性別」すなわちジェンダーの視点を欠くことはできない。現在の日本社会は男性にも住みにくい社会であるので、ジェンダー平等の視点に立って問題を解決しようと考える男性を増やし、協力してよりよい社会を創る努力を進めることが必要である。

そのためには、志を同じくする人たちとの連帯が不可欠である。国際婦人年連絡会に新しい団体を加え、特に若い年齢層への働きかけに努めると同時に、広く一般社会にその存在を知らしめ、活性化を図る。草の根の女性たちとの連帯を国の内外を問わず強化したい。一例を挙げると、首相の靖国参拝の翌日に中華全国婦女連合会の張静国際部長たちと話し合いを行ったが、女性が正しい国際理解をもつことにより、相互理解を深めていくことができると互いに確認した。

現在、わが国はいろいろな意味で危機に直面している。国際婦人年連絡会は、机上の空論をたたかわすのではなく、本日の資料に述べたような行動目標を実践していかないならば、その存在理由はなくなるであろう。男女の区別なく、誰もが自分の実力で活躍できる社会を作るためには、平和な社会の実現がなければならず、まさに、市川房枝先生の述べられた「平和なくして平等なし、平等なくして平和なし」なのである。ジェンダー平等の推進が基本的なものであるということは、国連事務総長のアナン氏もこの3月の「北京+10」会合の開会演説で述べられたことである。

痛みはともに分かち合い、格差の少ない明るい社会を創ること、それには人間の心の問題をもっと重視していかなければならないと思う。法の整備や、理想的な施設を作っても、それを運営していくのは人間である。これからの日本経済・社会を支える上で大きな問題は急速な少子化である。合計特殊出生率は1.29となった。政府は少子化対策として、仕事と家庭の両立支援や保育所の増設、子どもを持つ女性が働きやすい環境を提供するのは当然であるが、それによって、女性たちが子どもを産み始めると考えるのはいささか短絡的ではないだろうか。女性たちがどのような生き方を求めているか、世界観、人生観、問題意識などすべてが関与して人々の行動が決定されることをもっと考慮すべきであろう。

どのような精神に基づいて、さまざまな政策が打ち出されているかを見抜く鋭さを持つと同時に、私どもの活動は人間の尊厳に敬意を払った、一人一人を大切にする暖かさを伴った社会を創っていきたいと願う。