2. 国際婦人年連絡会の各委員会の働き

国際婦人年連絡会には、現在6つの委員会即ち「政策方針参画」「教育・マスメディア」「労働」「家族・福祉」「平和・開発」「環境」で構成され、そのもとに全体会で芳志決定をしている。さらに国際部およびユニフェム(国連婦人開発基金)の働きがある。各委員会の活動の詳細については、プログラム資料を参照されたい。

2000年11月の大会では、21世紀の幕開けを目前に控え、21世紀こそ私どもの目指す「平等・開発・平和」がよりいっそう前進するようにという熱い期待があった。しかし、世界の誰もが夢にも考えなかった、ハイジャックされた2機の民間ジェット機がニューヨークの世界貿易センタービルに突っ込み、ビルの崩壊と多数の犠牲者を出すという、いわゆる9.11事件が勃発した。21世紀こそ平和な世界をと望んだ世界の多くの人々の夢は無残に破られ、テロ防止を口実に、アフガニスタンやイラクでアメリカは戦争を起こし、非戦闘員である多くの女性、子供、高齢者たちが殺され、住むところを破壊されている。また、民族紛争もあとを絶たない。その結果、目を覆うばかりの貧困、女性に対するレイプ、病気や障害を持つ人々が十分なケアを受けられない等、基本的人権が踏みにじられるような事態が各所で発生している。

一方、武器の開発・増産、軍備の増強は、とどまることを知らない。開発途上国においても、その国の予算の大きな部分を軍事費が占めている。憲法9条を持つわが国においても、軍事費は、米国、ロシアに次ぐ世界第3位である。しかし、日本が戦後60年間戦争をしないで経済的な成長を遂げることができたのは、憲法9条によるところが大きい。この憲法を変えようとする動きが、非常に大きくなっている現在、国際婦人年連絡会の憲法堅持の精神は、よりいっそう強調してもし過ぎることはない。「剣を取るものは皆、剣で滅びる」という聖書の言葉はまさに真実をついているといえよう。また、この憲法に盛られている基本的人権の尊重は、男女平等の根本であることを忘れてはならない。

憲法を改定しようという動きは、教育にまで及び、教育基本法の改定という動きも激しい。自国の犯した過ちについて正しく次世代に教えることを自虐的であり愛国心に欠ける教育と考えるような、間違った愛国心教育を行おうとしたり、「君が代・日の丸」の強制に見られる思想および良心の自由の制限や、皇国史観に立った歴史教科書までが導入され、アジア諸国、特に韓国や中国の不信をかっている。

さらに、現在ますます必要となっている正しい性教育を非難したり、心の問題の重要性を口実に、子どもたちの心に踏み込むような副読本が、小・中学校に配布されたり、次代を担う子どもたちの教育に対して国際婦人年連絡会が発言しなければならない問題も数多い。巻末年表には、どのような要望・請願・声明を出して来たかが掲載されているのでぜひ参照していただきたい。こうした問題に対するマスメディアの姿勢は残念ながら、かつてよりいっそう消極的、後退しているように思われる。女性たちの活動についての報道はほとんどされなくなってしまったばかりか、戦争への道をたどることをむしろ推奨するような主張を掲げるマスメディア機関もかなり見られる。こうした機関からは、「男女平等参画社会」の実現に対しても基本的には反対とする論調が、たくみに展開されていることに危機感を抱かざるを得ない。

WHOの定義によれば、65歳以上人口が7%以上の社会を高齢化社会、14%以上の社会は高齢社会と称される。2004年10月1日現在の統計によれば、日本の人口に占める65歳以上の人口の割合は19.5%で、わが国は明らかに高齢社会となっている。ちなみにジェンダー平等を重視する人々にとって、高齢者の介護を家庭の責任において行うことを示唆するような方針が次々と打ち出されることは、暗に女性にその責任を負わせようとしていることが窺われて納得しがたいものがある。福祉予算がカットされることは弱者に冷たい競争社会に拍車をかける状況を招くであろうし、高額所得者優遇の現在の税制は、貧富の格差を増大する不健全な社会を招来する原因となるであろう。中高年男性の異常な自殺率の高さ、また女性においても高齢になるにつれて自殺率が上がっていくことは、わが国の大きな社会問題点とされる。国際婦人年連絡会は、高齢者が安心して生活できる社会の実現に向けて、そうした社会が、結局すべての人にとって住みやすい社会であると信じて活動を続けてきた。

一方、生涯を通じて女性が健康に生きられるように、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの向上も国際婦人年連絡会の重要な主張の一つである。自分の体について自己決定権を持つことは、女性の基本的な権利であるが、この言葉はまだ一般社会に定着していない。わが国の若い女性の間に蔓延しつつあるHIV/AIDSの感染状況に鑑みても、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念をもっと理解しやすい言葉に翻案し、社会に広げていくのも国際婦人年連絡会の責任であろう。

女性の労働の問題に目を転じると、多くの職場でいまだにさまざまの男女格差が見られる。賃金格差も埋まらないし、管理職に就く女性の数も少ない。働き方が多様化し女性労働者の権利を守るための活動は、国際婦人年連絡会創立の当初から重要な課題として取り組んでおり、現在、仕事と家庭の両立施策の充実をはじめ男女雇用機会均等法の抜本的な改正が不可欠であるという立場に立って、特に表面的には見えにくい形での間接差別の禁止を強調している。

また、この5年間は、世界各地で大きな自然災害が続発している。その原因のいくつかが、人口増大と人間の欲望による自然破壊が影響しているといわれ、環境問題は、他の分野とも大きくかかわる問題である。環境・開発の10年が本年4月より行動が開始されたが、この期に積極的な活動が期待されている。